メタ自然学者の散歩道から

-自然学のススメ-

 

自然を探究するためには,自然を探究するという,その「行い」の方法を学ぶ必要があります.自然の探究の方法を学ぶことが,まず自然学の探究のはじまりです.

メタ自然学とは,自然の探究法の探究です.メタ自然学は,自然学の探求からはじまります,そして,自然のロゴス,とりわけ,その第一の,最も基礎的なロゴス,自然のロゴスの最高類(ロゴス的基底)としてのロゴスの探求,historia principia logica naturalis -自然の存在の第一の諸原理- の解明へと至る道,永遠の存在へと続く永遠の道なのです.

わが「自然の弁証法」とは,すなわち自然のロゴスとヒトのロゴスとの,モノ・コト・コトバの全局面における不断の真摯な対話です.そのことによって,ヒトの「技術システム」を「自然の鏡」として「再」構築し,その不断の存在を保証しつつ,しかも不断の犠牲を伴う試行錯誤の結果では<ない>ような,自然のロゴスとヒトのロゴスとの「共生的な,そして意識的に至善最適へと向おうとするところの-自然と・ヒト・とが共に・よく・生きるためのオルガノンとしての技術システム,その進化のための方法論」を作り上げること,それがわがメタ自然学の究極の目的です.

自然と自然のロゴスとヒトとヒトのロゴスとの対話は,古来,多くの人びとによって不断になされて来ましたし,それに参加した多くの人びとにとっては永くかつ苦しい,苦労と苦難に満ちた道のり,でありました.それを歩き終わってそれを振り返って見れば,楽しくかつ明晰判明で,誰もがそれを安全かつ安心に通れるような道,それこそ道草を喰いながら,自然に親しみながら楽しく歩けるような道にしたいということが,わたしがこのメタ自然学研究室を守りつづけるにあたっての「最後の願い」なのであります.

ここではわたしが歩いてきたメタ自然学の散歩道,そこで見かけた自然システム,メタ自然学,そして技術システムの諸風景を,エッセイとし,それらを集めたものです.自然学のススメとして,わたしがメタ自然学へと志したいわばメタ自然学への入門の動機となったものどもを,問わず語りとしてご紹介いたしたく存じます.

それらは必ずしも明るい話ばかりでもありませんし,楽しい話ばかりでもないかもしれません.しかし,わたしたちは,暗くて苦しかったかもしれない過去をよく反省し,よき未来に向けて,この現実の改善への希望をいささかもつことによってはじめて,この厳しい自然の内にあって,自然と共に<よく・ある>こと,「よく・生きる」こと,ができるのではないでしょうか.

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目次

はじめに

里山の風景

山菜採りのこと

消えた源氏ボタル

草花や木々たちのこと

虫や動物たちのこと

キノコ狩りのこと

トンボたちのこと

魚たちのこと

自然学への目覚め

生活の知恵=自然の技術システム

古代・中世の日本海の浜辺のこと

自然なよさ,それが美である.

いわゆる「学問・芸術」について

桃源郷の夢

清貧の思想

ファウストの部屋

「エピクロスの園」の現実

浜辺の詩(うた)

祖父とタバコのこと,あれこれ

わが思想の彷徨,その「はじまり」

インチキ科学やインチキ宗教は,自然の存在の歴史をも偽造する.

日本の産業システムと技術システムの現状

現代物理学についてのエピソード

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