山菜採りのこと
花をのみ待つらむ人にわが庵の雪間の草の春をみせばや
まだ若いときには,山登りをしました.春の巻機山に登って,新潟県のとある部落に下りたとき,はじめて「こごみ」というものに出会いました.私が「これ,オニゼンマイじゃないの」というのを聞きとがめて,山菜売りのおばあさんが出てきて,「お客さん,これはオニゼンマイじゃなく,コゴミといって」云々とお説教されたのを今でも覚えています.それが,新潟県の里山にあるとすれば,富山県の里山にもきっとあるのでしょうね.
というわけで,一度,コゴミの出る季節に,山菜採りの機会があったら,また,ご迷惑でなかったら,お知らせください.コゴミの自生している姿を一度見てみたい.収穫としては,一人で食べるだけですので,4,5本もあれば十分.その頃,穀雨の候,ちょうど麦が青々と育つ頃で,山菜とてもさぞ芽吹き初めていることでしょうね.
昨日は山菜採りに誘っていただき,さらに昼飯にビールまで奢っていただきました.恐縮もし,また,まことにありがとうございました.
早速,タラの芽とフキノトウはテンプラにして頂きました.アサツキは今日の昼飯のヤキソバに混入,ネギと同じ味ですね.コゴミは今晩にでもおひたしにでもしていただこうと思っています.
深山幽谷に分け入るつもりで身支度してきたら,道端やら川端やら崖地やらのニッチに,ようやく生えているのが山菜でした.山里にとっては主要な作物ではないが,しかし一斉に芽吹いて食べられるもの,いわゆる「若菜」こそが,そのまま「山菜」ということだったのですね.
わたしの生家でも,祖父が漁師でしたから,売り物にならないような「いわゆる雑魚」は腹一杯食べられました.金銭的には豊かではなかったその内にはあっても,それはやはり自然の内に活きる者だけに感じられるような「自然の豊かさ」ではあったのでした.
富山の里山のこの季節の風景は初めてで,医王山に残っている雪景色と春霞が同居している景色が絶品で,どこかしら安曇野と似ていると思いました.遅く来て,梅も桜も桃も,同時に満開になって,あっという間に過ぎて行く山里の春でした.
巷では既に晩春.あと2週間たつともう立夏です.次にお会いできるときは,既に「夏は来ぬ」でしょうか.
あと,大文字草の群生地は,ぜひ花を見て写真を撮ってみたい.花が咲く頃(9-10月といわれています,キノコ狩りの季節になったら,ぜひ場所を教えてください.
山菜としての大文字草は,「イワブキ」となっています.岩の崖に生えて,フキのような葉っぱをしているからでしょう.また,その花は,赤から白の色変わりや花の形状の微小な変態による品種が多々あって,山野草としてはとても人気が高いものらしいですよ.栽培品種の開花時期は9-10月になっていますが,医王山の麓あたりではどうなのでしょうか.
ただ,強欲な「業者」が,これが「もし・変わり種」だったり,それと知ったりすると,採り荒らされることさえも懸念されます.環境省のレッドデータブックには「エチゼンダイモンジソウ」が載っています.