メタ自然学とは何か

 

自然学とは,自然・内・ヒトによる自然の「まねび」であり,ヒトによる自然がするところの諸々の「行い」のロゴス(コトバ,言語,理論)の探究です.自然学はようやく,この現代において,極小のミクロコスモスから極大のマクロコスモスに至るまでの自然がする諸々の「行い」のロゴスの全貌を,明らかにしはじめました.わたしが探究しえた限りの,その探究の成果の概略は「自然システム論としての自然学」において述べた通りです.

これに対して,メタ自然学とは,最広義の自然学の一分野であり,自然のロゴスを探究して自然システム論として成立させてきたところのヒトの「行い」の探究であり,その探究の「行い」のロゴスの探究であるといえます.つまり,自然の内にありながら,自然が生みだし育んできたものでありながら,自然のロゴスそれ自身をようやく知り始めるにいたった自然・内・ヒトのする「行い」のロゴス,ヒトの「行い」の意味と意義,とりわけそのココロのあり方の探究であり,それは結局,自然・内・ヒトが形作るその社会システムのロゴスの探究であり,全自然の存在の本質をなすところのいわゆる世界精神(Welt Geist)の探究をいいます.

端的にいえば,わがメタ自然学とは,自然・内・人間の存在のロゴスの探究です.わたしがメタ自然学としての自然・内・人間学において意図するところは,あまりにも人間「中心」主義的になりすぎてしまったヒトのロゴス・システム(言語システム)の,現代自然システム論において明らかにされはじめた自然的ロゴス・システム(言語システム)への「解・体」と,それによって基礎づけられた,いわば,その「解()・明(かし)」なのです.

それはまた,自然学の基礎学であり自然の探究のための方法論 -自然学のオルガノン- の探究でもあります.メタ自然学とは,普遍的自然学あるいは全自然学すなわちわがいうところの自然システム論を支える,その基礎であり,全自然学にとっての共通の「魂」のあり方の探究です.自然システム論を,即自的自然のロゴスの探究ということができるならば,メタ自然学とは,対自的自然のロゴスの探究であるともいえましょう.

メタ自然学は,現代においては全社会システムの魂ともいうべき「技術システム」の基礎あるいは基盤的要素として,ようやく意識されはじめました.その典型は,現代における数理物理学あるいはわがいうところの数理自然学に象徴されます.しかし今やそれのみに留まるものではなく,狭い意味での全自然学の諸分野,そして人間学の諸分野に共通するロゴスの探究に係わる,その方法論の探究であり,それは,究極には,現代の「技術システム」の基盤的な諸要素としての,情報(=自由エネルギー)処理システム論を形作ることになるのです.全産業システムと技術システムの基礎学としてのメタ自然学的システム論の建設の試み,それを現代メタ自然学と称します.

また,わがメタ自然学は,自然システムの探究の成果であるところの自然学の,その進化の諸過程をも探究対象とします.それは結局,自然・内・ヒトの「魂」のあり方であるところの,ヒトのパトス(感性,判断力)・ロゴス(純粋理性)・エートス(実践理性)・システムの進化の諸過程の探究であり,ヒトの純粋な「行い」の存在様式の探究すなわち「純粋行為論」であり,ヒトの「行動の構造」であるところの「技術システム」の進化の諸過程の探究に帰着します.メタ自然学の探究の目的は,自然・内・ヒトのパトス・ロゴス・エートス・システムの理想のあり方を,ヒトのココロの進化の果てにあるべきものを,そこに見出そうとするのです.

わがメタ自然学は,まず日常のロゴスからミクロコスモスへの道を辿り,全自然システム論の根底にあるところの相対論的量子統計場の理論の基礎の解明を目指します.ここにおいて解明されたミロクコスモスのロゴス,自由エネルギー(=情報)をその原動力として活動する多階層的動力学的ハイパーサイクル・システムの存在のロゴス,から「再」出発し,それに基づき,日常のロゴスとしての「技術システム」の基礎学を建設することを目指します.全自然学の基礎となるべきオルガノンであるところの自然のカテゴリー論(=自然の文法)を「再」構築し,さらに,社会「技術システム」を制御し最善かつ最適なものへと進化させる方法を探究します.

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目次

 

はじめに

 

記号から文字へ

 

自然数システムの発見

 

算術と幾何学

 

自然数システムから4元数システムへ

 

相互無危害性と相互善行性原理の発見

 

オルガノン・システムの発見

 

PDCAサイクルの発見

 

進化論的に安定な生き残り戦略の発見

 

自由の概念の発見

 

論理的原子論の発見

 

動力学的本質の発見

 

結論

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