自然数システムの発見

 

純粋行為論としてのメタ自然学  メタ自然学は,ヒトが自然の存在の本質を「知る」という「行い」の基礎であるところの,自然の事物の運動と作用との「数」と「量」を「数える」こと「量る」こと,つまりヒトの純粋な「行い」,純粋行為からはじまります.自然の創造においては,まず「行い」ありき,でした.わがメタ自然学の創造においてはまず,自然の運動や作用の数や量を「数える・量る」というヒトの純粋な「行い」ありき,です.

 

自然数システムの純粋行為としての「実在」  数学嫌いのあなたにこれを捧げます.自然において純粋な,そして理想的なカタチをもつ記号は「現に・存在する」のです.しかも日常的に,わたしたちの身近に存在します.自然数がそれです.

「ひとつ」と「数える」純粋な「行い」のことを「1」といい,「ふたつ」と「数える」純粋な「行い」のことを「2」という,等々によって,自然数システム(natural number system)が,まず定義できましょう.「1」,「2」,・・・とモノを「数える」という「行い」が,純粋な「行い」であることは,それを誰が行っても,たとえそれをおサルさんが行ったとしても,「全く・同じ」であることから容易にわかりますね.この自然数一般を,nという記号で表すことにします.

さて,nを自然数である,としましょう.ヒトは,定規を使って,直線を「描く」ことができます.コンパスを使って,その直線から「1単位」の長さをもつ直線を「切り取る」という「行い」が,これまた純粋な「行い」として誰にでも可能であることは明らかです.そこで,コンパスを「n回・繰り返し・使う」ことによって,「単位長さ1n倍の長さをもつ直線」を「描く」ことができます.この純粋な「行い」をnに対応させます.

そうすると,直線を「描く」という「行い」によって,自然数を「加える」とか「掛ける」という「行い」をなすことのできるモデルがここに成立します.たとえば,「+」という記号は,nmとして使われた場合に,nという長さをもつ1つの直線に,mという長さをもつもう1つの直線を「付け加える」(延長する)というヒトの純粋な「行い」である,と理解してごらんなさい.そうすれば,すべてが明らかになります.同様に,「-」という記号は,n-mとして使われた場合に,nという長さの直線からその向きとは全く正反対の方向の長さmの直線を「付け加える」ことであると自然に定義することができます.つまり,-nの長さの直線とは,基準点から「付け加える」方向に対しては正反対の方向に,長さnの直線を「描く」ことである,として自然に理解できるでしょう.

これと似たように,「×」という記号を,それが「n×m」として使われた場合,これはnという長さをもつ直線を,m「倍の長さにする」というヒトの純粋な「行い」である,と理解してごらんなさい.そうすれば,すべてが明らかになります.そうすると,n×(-m)などは,n倍の直線を,反対方向にm倍の長さに延長したものである,ということになります.

「÷」という記号は,m÷nと使われた場合,x×n=m,というxを見出すことですが,これはm単位の長さをn単位の長さに「分割する」という作図法によって行うことができます.これによって,加減乗除の演算のその全てを,定規とコンパスを使って作図することによって「行う」ことができます.これらの純粋な「行い」によって,有理数システムつまりm/nの形式で書くことのできる「全ての数」,が得られました.

先回りしていうと,さらにピュタゴラスの定理を知っていれば,√nというような線分も簡単に作図することができ,結局,整数係数の2次方程式の実数解からなる数システムは,全て作図するという純粋な「行い」の組み合わせによってこれを得ることができます.じゃ,整数係数の3次方程式はどうなるのかなこれが古代ギリシア人をなやました「難問(アポリア)」でした.

実際,ギリシア人たちはこのように定規とコンパスを使って「計算する」という純粋な「行い」を<なした>のであって,その方法システムが,ユークリッド幾何学の『原論』に集大成されたのでした.結局,自然数システムそして有理数システムがこの自然の内に「実在する」ということは,この自然の内なる誰しもが,たとえヒトでなくても,それに対応する純粋な「行い」を「実際に・行う」ことが<できる>ということです.

 

自然の事物の運動と作用の「数・量」を「数える・量る」モノ  2つの数を「加える(+)」とか2つの数を「掛ける(×)」とか,さらに「引く(-)」あるいは「割る(÷)」等の,純粋な「行い」をヒトよりもはるかに高速で「行う」ことができるもの,それがコンピュータです.コンピュータでもできるような簡単な純粋な「行い」を,万物の霊長と称するヒトができないはずがありません.数学嫌いは,間違った教え方が作りだしたものなのではないでしょうか.小学生のときに,こうした純粋なしかも単純な「行い」を実際にやってみていれば,数学は全く別のものになっていたでしょうに.

もう一度整理しますと,自然数システムを構成する「1」,「2」,「3」,・・・,そして「+」,「-」,「×」,「÷」等々の「記号システム」は,ヒトの(単純なそして)純粋な,それゆえに,自然の内なるモノであれば何でもが,それを「行う」コトができるような「行い・システム」を,的確に,明晰判明に,まったく曖昧なところなく,11に,表現することができるような,自然・内・存在としてのロゴス・システムであり,これがわがメタ自然学の基礎中の基礎なのです.

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