自然システム論としての自然学(historia naturalis)
-自然システム,自然のロゴス・システム,自然の技術システムの探究-
Historiaとは真実の探究を意味し,naturalisは自然について,であり,自然学とは,わたしたちがその内に住むこの自然を,1つのシステムとして対象化し,その真実のあり方を探究すること,すなわち自然システムの探究です.この研究室における自然システムの探究の成果は,次のように整理することができます.
・モナドロジーの概念(monadology): この自然は,極小のミクロコスモスから極大のマクロコスモスに至るまで,ただ1つの種子から出発し,それが分化し発展し進化してきた,ということ.
・オート・ポイエーシスの概念(autopoiesis): この自然は,それ自身が1つの運動体すなわち1つのイキモノであり,自らが自らを自らにおいて作り出すことができること.
・論理的原子論(logical atomism): この自然は,無限定なほど数多のロゴス的に<不可分なるもの>(個体)が,ただ1つのロゴス的に<空なるもの>(時空間)において,相互に運動しまた相互作用することによって,生成・運動・変化・消滅し,そして進化してきた,という論理的原子論すなわち純粋行為論によって記述できる,ということ.
・多階層的動力学的ハイパーサイクル・システム論(multi layered dynamical Hypercycle system): この自然におけるあらゆるロゴス的に<不可分なるもの>の存在と進化の原理とは,自然学の第1原理である4元運動量の保存則,そして第2原理であるエントロピーの増大(いいかえれば自由エネルギーの消費)の法則に基づけられており,この2つの法則に依って,多くの<不可分なるもの>たちが,ミクロコスモスからマクロコスモスに至るまで,全ての存在の階層において動力学ハイパーサイクル・システムを形成し,それが自由エネルギーを消費することによって相互に運動し相互に作用することによるものである,ということ.
・自然の進化の原理としての相互無危害性(安全性)と相互善行性(最適性): <不可分なるもの>すなわち動力学的ハイパーサイクル・システムの形成と,その発展・進化の原理とは,相互無危害性および相互善行性原理にあり,それはヒト社会においては,自由・平等・友愛・平和の原理,と呼ばれるものであるということ.
古代ギリシアと古代インドにおいて発見された古代原子論が,ヨーロッパ中世・近代において長く無視され続け,現代においてようやく受け容れられたように,世間のよき常識としてこれらの諸命題が受け入れられるまでは,まだずいぶん時間がかかるでしょうし,この研究室においても,さらなる努力勉強精進が必要です.しかし,この研究室に残された時間も,そう多くはありません.未熟なところは多々ありましょうが,漸次これらを発表し,より多くの人びとの批判に,これを委ねることにいたします.
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