われらがポリス日本,その財政の惨状

 

あのね,100兆円の国債を「売る」っていうけど,その国債を保有しているのは一体誰? 国債を「持っている」のは,結局は国民,でしょ?

国は100兆円の国債を簡単に「発行する」ことができます.しかし,それは結局国民への「借金」でしょ

その借金ってどうやって返すのですか.結局,それはみんな国民の労働の成果である「税金」から,でしょ要は,国債とは,タコ(国家)がストレスで自分の足食ってやせ細っているようなもので,そのモトをとるために国民に100兆円分稼がせよう,というだけのことでしょ

富の根源は,ヒトの価値「再」生産活動,すなわち労働であり,それ以外にはありえません.個人で年収の10倍をこす借金を抱えていたら,そのヒトはどうなりますか.借金を返すために働いているようなものです.そのヒトが病気やケガ,そして老化で働けなくなったら,彼は破産するしかありません.

アメリカでは住宅ローンを労働者にドンドン貸し込み,それが不況で彼らが職を失い,収入を失い,家を失い,その借金が大量に焦げついたから,リーマンショックが起った,のをもう忘れたのですか.

今,日本は少子「超」高齢化社会に突入しています.働き手はどんどん減っていきます.いくらお金を注ぎ込んでも,「再」生産される価値はどんどん少なくなっていくでしょう.となると,結局,借金はいずれ焦げつくしかありません.このままでは,日本という国家はギリシアのようにいずれ財政的に破綻するしかありません.

ギリシアの破綻と同じで,国債を償還するアテがなくなれば,国家は破産です.日本の国債だって,いわゆるデフォルトで,そのツケは全国民に波及するでしょう.今,返すあてのない借金をますます肥大化させて,日本国債の格下げが次々と起り始めたら,もう取り返しがつかなくなるでしょう.これは,戦時国債が,敗戦によって全くの紙屑になったのと同じことでしょう.

あらゆる社会的富は,ヒトにとっての価値「再」生産活動すなわち労働,があってはじめて生じるのであって,労働によって産みだされる富(=社会的価値)以上の消費を行えば,個人だって家庭だって国家だって,破産するのは至極当然の「あたりまえ」です.労働による実質的な富の「再」生産が十分にあれば,また担保となるべき資産が十分にあれば,要は,借金したって,返せるアテがあれば,それは生活を豊かにするかもしれません.

しかし,人生にケガや病気や事故はつきものです.国家にだって,今回のような大地震・大津波・原発事故といった大災害はつきものです.さらに,恐慌にあっては社会的富の再生産それ自身が,労働者が大量に失業することによって,滞ってしまいます.さらに最悪なのは戦争で,それによって「諸国民の富」は大量に破壊され尽くします.そうした「危機」の場合に,もし大量の借金があると,資産はどんどん目減りし,ついには破産,国家だったらロクな財政出動もできず,今回のギリシアのような財政破綻,国家破産,国債のデフォルト,の憂き目を見ることになります.

要は,今の時期に財政出動までして「借金を『これ以上に』増やす」のはありまにも危険だ,ということです.それこそは「国難」の時期なのですから,世の中のお金持ちが御国のためにシッカリ連帯なさって,世のため人のためを真剣に慮って下さいまして,ガッポリと税金を納めて下さるのが,結局は一番よいのではないでしょうか.私ども貧乏人は,ますます質素倹約に勤しみますゆえに,これ以上のご負担は平にお許しくださいませ.

 

戦時国債って,当時は国債市場がほとんど成立していませんから,日銀に引き受けさせて,それを「売った」と称して,そのお金で国民から戦時物資を調達したというより巻き上げて,それで戦争を遂行したのでした.「100兆円」論者は,今またそれとまったく同じことをやろうとしています.今,「100兆円」の国債を突然発行しようとしたって,市場がそれを簡単に消化できるはずがありません.消化しようとすれば,結局,それを日銀に無理矢理に引き受けさせるしかない.そうすれば,100兆円分の現金がそのまま市場に出回ることになりますから,インフレがはじまるでしょう.

100兆円」論者はこのインフレを狙っているのでしょうが,現代では,そうは問屋がおろしません.国内製品が値上がりしようとすれば,消費者は外国からできるだけ安い輸入品を買って対抗しようとするでしょう.そうなれば国内製品がますます過剰生産になってまたまた暴落します.結局,デフレはますます進行し,産業の空洞化は進行し,日本経済が甦るどころか,却って,「日本だけの恐慌」が起きるだけのことでしょう.そうなれば,元の木阿弥で,ただ借金だけが増え,国民の総資産がその分目減りしただけ,のきわめてバカバカしいことに終ります.要は,戦時国債発行と同様の「暴論」のみの輩の言を安易に信じちゃいけませんよ,ってことです.

今ホントに必要なのは,開拓者精神です.新しい産業システムの分野を開拓し,そこで活躍することができる新しい「技術システム」すなわちよき産業の「魂」をもったヒトを地道に育てること,でしょうね.

 

国民の総資産といっても,それが最終的に金融資産として正当に評価されなければ何の意味もありません.国家が破綻すれば,国債で債務不履行が発生すれば,国家資産の価値は0とみなされますしょう.いくら国民が貯金をもっていたとしても,それを金融機関(日銀)が全部国債に変えていれば,全銀行は破綻し,結局,膨大な国民の貯金も凍結されて全く引き出せない,という状況になりますよ.

これまで野放図なバラマキを黙認してきた国民が悪いのか,それとも景気をよくするためのバラマキである,と国民を騙し続けてきた政府が悪いのか.さて,どっちでしょう.

1000兆円の借金」の存在は厳然たる事実です.この事実(evidence)とそれを説明しそれを解明できる「正しい理論」から出発するのが科学的態度でしょう.EBM(evidence based medicine)という分野がありますが,それは正確な病状判断と正確な治療法からなるのです.今,国家は借金病です.それを直す正しい治療法が発見されなければなりますまい.

負債と資本の部を合わせた総負債額が,総資産(仕掛り,売り掛け)より多ければ,その企業は倒産します.貧困化,少子高齢化で,商品の購買力そして生産力が次第に低下しつつあるのに,一方的に負債だけを増やし続ければ,いずれ国家も破綻するでしょう.国家は潰れない,破綻しない,という神話という名の妄想があったから,今までナントカ無事だったのです.それが国際経済のなかでは,国家の破綻が現実のもの,となりはじめたのです.今や,1つの国家といえども,「国民からの税収入から成立している単なる1地域企業」にすぎないのですよ.国民に安全と安心を保証するのが国家の役割で,その機能を果たし得ない国家は,結局は,死滅するしかないのです.

資本にせよ借金(借入金)にせよ,人びとの価値「再」生産的諸活動に投じられてこそ,剰余価値をも含めた諸価値を産みだすことができます.それをタヌキやシカしか通らないような道路,誰も耕さない田畑(休作「奨励!」金),治山治水にさえも役立たない自然破壊だけの無用なダム,等々と,人びとのいかなる価値「再」生産活動にもほとんど寄与しないような,金に目の眩んだ連中つまり「社会的寄生虫」にいわれるがままの諸施策,にバラ蒔いてきた,ということ,それが今日の国家財政危機を作り出してきたのではないでしょうか.

 

国家の「借金」や「国家資本」などの,国民の「総負債」としての存在を,頭から否定しているわけじゃないですよ.問題はヒトの価値「再」生産活動に全く関係のないような,むしろ価値破壊的な活動たとえば戦争や大量破壊兵器に支出するような「国家の無駄遣い」が,今まであまりにも多すぎた,ということです.

国家の役割とは,国民の安心・安全な暮らしを保証することにあります.いわゆる夜警国家が市民社会における国家の理想像でしょう.そのことを「再」確認し,今までの「国家が・国民を・支配するあるいは搾取する」という態度を根本的に改めることです.それなくして,新たな借金をしようとすることは,ますます財政危機を深めるだけ,国家の破綻を早めるだけのことだ,ということです.「生きた・お金」を,人びとが「よく・生きる」ために,お使いなさいまし,ということです.

 

ところで,国家のもっている資産って,国民の貯金なんかじゃないですよ.今の「国家(社会)資本」ってば,材木が全く売れないような山林,ヒトがほとんど走らないような道路,治山治水に役に立たないダム,等々の,ほとんど価値を産みだせないような「死に金」つまり「遊休資産」あるいは「不良資産」でしかないです.それを国民の預貯金からあえて補填し償却しようとすれば,増税する,搾取する,要は,収奪する,その他にはありえないですよ.

これは,一般企業だったら,とうの昔に倒産していてもおかしくない状態です.それがナントカもっているのは,国民からの将来にわたる税金収入があるからですが,今増税すれば,もっと生産活動が低下するだけでしょう.この間,日本の国家財政は,完全に悪循環に入ってしまっているのです.

それを建て直すには,どうするか,です.少なくとも,その治療法は,これ以上借金を増やしてしかもそれを「不良資産化」すること,ますます傷を深めること,ではありますまい.まずは,国家的「寄生虫」という「病因」を,つまり「腐った膿」を出し切ること,からはじめることですね.

 

身内にただ一人浪費家がいて,それに貸した金が全く帰ってこなければ,身内全体がそのまま貧乏になるだけでしょう.そのただ一人の浪費家が,わが国家だ,国家そのものがそのまま亡国の輩だ,ということが全く情けない話でしょう.

今のままの状態で,ただ国が借金を続けてただバラマキを続ければ,貧富の差が拡大し,アメリカ的格差社会になり,階級闘争は激化し,若者たちが反乱し,最後は「積み木崩し」どころの騒ぎじゃすまなくなるでしょう.

だから,今その「莫大な預貯金」を使ってでも「次世代のために」やっておくべきことがあるでしょう.それは「お上」からのバラマキ頼りで「自助努力」を全くしない土建屋さんをただ救済することだけではないはずです.

借金は,いつかは返さないと必ず取り立てを食って破産します.借金と投資とは全く違います.社会がヒトにキチンと投資すれば,それは,いつかは社会に帰ってくるでしょう.ヒトの価値「再」生産活動,唯一それだけがヒト社会にとっての富の源泉なのですから.

ヒトの価値「再」生産活動がなくなることはないから,それに参加し協力すれば,そこから報酬が得られます.その意味では「知恵を出し,汗を流す」行いに対して「稼ぎ」がなくなることはまずないでしょう.

しかし,いわゆる「大儲け」とは,結局は剰余価値の搾取に帰着しましょう.右から左へ大量に金を流すだけでボロ儲けするような「ボロイ仕事」あるいは「市場ゲーム」はドンドン難しくなってきている.「お上」から流れてくる仕事を下請けに丸投げして利ざやをとって「大儲け」をしてきた連中やら貧困ピジネスやら暴力団やら,それは結局,多くの人びとを「搾取する」ことでしかない,ということです.

1000兆円の借金を返すどころかさらに毎年40兆円を新たに借金し続けて,それを「大儲け」する輩にバラマキ続けている「御国」とやらが,いつまでも無事でいられるはずがありますまい.そういう「御国」はそこに寄生してきた「寄生虫たち」と一緒に滅びるだけです.

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