国家「主義」の幻想

 

今や世界は否応なしにただ一つの経済圏になりつつあります.世界が恐慌に沈んでいて,日本だけが甦るなんてバカ話こそ,「幻想的評論」であり「偽りの予言者の世迷い言」にすぎません.

日本では,「家」がそのまま大きくなったものが「国・家」だと考えられた時代がありました.天皇の「赤子」が国民だ,とね.つまり,天皇を「家の長」とする家族が国民だ,だから家族たる国民は家長たる天皇には忠義を尽くしなさい,と「お上」は宣伝してきました.企業だって「家族」経営こそが日本的美徳である,したがって社員は社長に生涯にわたって奉公しなさい,と会社が社員を教育してきた時代が,ごく最近までありましたよ.

個人や家族は,安易に借金してはいけません.赤字のたれ流しでは,家計が破綻して,路頭に迷うのは明白です.ところが,国家だけが借金を殖やしてよいのだ,赤字の垂れ流しでいいのだ,などといっても,それこそ支離滅裂で,全く筋が通りませんよ.

ホントに「有用な仕事」にお金を使いたいのであれば,それはむしろヒトを育てるコト,ヒトの価値「再」生産的な諸活動,ヒトの「活・用」にこそ投資されるべきでしょう.今まで「有用な仕事」と迷信されていた「最悪の無駄遣い」こそ,戦争であり武器にお金を使うこと,つまり殺し合いとそれを大量に行うための道具にそれを使うこと,でしょう.

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